【京都産業大学】マルハナバチの生息地における巣の密度をDNAデータから推定するための方法を開発 -- 国際専門誌『Journal of Insect Conservation』に掲載



生命科学部 野村哲郎教授の研究グループは、野外で採集したマルハナバチの働き蜂から得たDNA情報を用いて、生息地における巣の密度を推定する方法を開発した。今回の研究成果により、種の保全において最も重要な女王蜂の個体数が推定できるようになる。




 世界各国において、マルハナバチの多くの種で個体数の減少が報告されているが、マルハナバチは野外の植物や農作物の受粉には欠かせない昆虫であるため、早急な保全対策を講じる必要がある。
 しかし、これまでの研究で用いられてきた巣の密度の推定法では、生息地の面積を推定する必要があり、推定法によって大きな違いが生じるため、巣の密度の推定値も信頼性に欠けるものだった。今回の研究では、統計的手法によって生息地の面積を推定することを回避し、働き蜂から得たDNA情報を用いて、生息地における巣の密度を直接に推定する方法を開発した。
 開発した方法を用いて、北海道東部の根室半島と野付半島にのみ生息が確認されている希少種で、近年は個体数が著しく減少しているノサップマルハナバチの巣の密度を推定した。なお、このマルハナバチは、低温、強風、濃霧などの厳しい自然環境に適応し、送粉昆虫として生息地の生態系の中で重要な位置を占めていると考えられている。
 根室半島で採集した42匹の働き蜂のDNA情報から推定した巣の密度は、1平方キロメートル当たり15.6個と推定され、他のマルハナバチ種と比べて例外的に小さな値であった。今回の調査により、生息地の環境保全などによって早急に個体数を増加させる必要があることがわかった。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学

<関連リンク>
・マルハナバチの生息地における巣の密度をDNAデータから推定するための方法を開発
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/2021_ls/20210712_400a_news.html
・生命科学部 野村 哲郎 教授
 https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/ls/nomura-tetsuro.html

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