- 品目ごとの追加関税や特殊関税を含めた関税コストの可視化が可能に
- 関税コスト試算の機能を顧客企業の環境から可能にするAPIを外部公開
- 2026年からのEU国境炭素調整措置にかかる対象品目や賦課金にも対応
デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村研一)は、国際貿易における企業の戦略的意思決定を支援するための自社開発webサービス「Trade Compass」の機能を強化します。米国の関税政策に伴い各国が課す「報復関税」などの対抗措置や、そのほか特殊関税の税率を簡単に特定できる機能など、新機能三つを、今春追加する予定です。これまでのFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の情報による税負担の削減効果に加えて、追加関税や特殊関税を踏まえた輸出入時の関税コストが可視化できるようになります。これにより関税にかかわるリスク分析が容易になり、通商を踏まえた企業の拠点戦略やサプライチェーンの最適化などを支援します。
追加する機能は次の三つです。
1. 追加関税・特殊関税の税率
米国の関税政策に伴い各国が対抗措置として「報復関税」を検討したり、アンチダンピングや補助金相殺関税など特殊関税を発動する動きが活発になっています。HSコードに基づいた品目のトランプ第2次政権による追加関税や特殊関税の税率などを、簡単に検索・表示させることができ、日本企業の海外子会社が、海外国間での輸出入にかかる税負担を含めて、国際通商上のリスクが分析できるようになります。
2. 関税試算APIの外部公開
Trade Compass内の関税コスト削減効果を試算するツールは、これまでwebサイトにアクセスして利用する必要がありました。このツールにAPIを追加して外部公開し、利用企業の環境に組み込んで、企業の環境から直接利用することができるようにします。これにより各企業は、自社の貿易管理システム等が現在持つ輸出入関連のコスト情報(例えば海上運賃等)に加え、Trade Compassが持つ関税コスト情報を加えることで、グローバルなサプライチェーンによるコストの最適化ができるようになります。
3. CBAM検索機能
EU域内への輸入に関わる新しい制度であるCBAM(炭素国境調整メカニズム)が2026年から、本格適用されます。これは、EU域内の企業が厳しい炭素削減規制を遵守する一方で、規制の緩い国からの安価な炭素集約型製品の輸入によって競争力が損なわれることを防ぐ目的で、EU域外からの輸入品に対して炭素排出量に応じた賦課金を課す仕組みです。本格適用の開始前からこの制度に対応し、品目ごとのCBAM対象・対象外を表示します(賦課金に関する計算機能は今後実装予定)。
Trade Compassについて
Trade Compassは、国際貿易における企業の戦略的意思決定を支援するためのツールです。貿易政策や関税、規制の変動をリアルタイムで分析し、企業にとってのリスクと機会を可視化します。輸出入時の品目や産地ごとに、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)を活用した短期的な関税削減効果の試算ができるほか、今回追加された三つの機能で、関税コストの可視化と機会の分析ができるようになりました。このツールを使うことで、企業は迅速かつ効果的に市場適応やサプライチェーンの最適化を図ることができます。
Tariff Search(関税率・原産地規則検索)画面
五つの機能
■Tariff Search(関税率・原産地規則検索)
HSコード・キーワードにより、関税分類・原産地規則を検索し、 関税率を将来(最大10年先※)まで把握できる。今回の機能追加で、第2次トランプ政権による追加関税に加え、米国以外の追加関税や特殊関税にも対応。
■Cost Reduction Potential(関税コスト削減試算ツール)
企業の自社サプライチェーン情報(輸出入国・品目・取引規模)に基づくFTA活用可能性と関税コストの削減ポテンシャルを将来にわたりシミュレーション。FTA使い漏れの防止による当期利益への貢献を実現。今回の機能追加で、APIによる外部連携が可能に。
■Sourcing Analysis(関税・為替を加味した調達コスト比較)
為替変動と将来関税を考慮し、サプライチェーン別の調達コストを同時比較。
■Trade Analysis(品目別での貿易金額・関税率分析)
品目別主要輸出入国(グローバルで上位10ヶ国)を表示し、マーケット動向と自社サプライチェーンの差異を検証。
■Classification Support(複数国間での関税分類比較)
複数国の関税分類(HSコードおよび品目)を同時に比較表示することで、自社の関税分類を検証。