学校法人武庫川学院(兵庫県西宮市)は2027年度から武庫川女子大学の全13学部21学科を共学とすることを7月28日の理事会で決定し、29日、記者発表を行いました。
2027年度から校名を「武庫川大学」と変更し、性別にかかわらず開かれた大学として社会に貢献すべく、進化を目指します。附属中学校・高等学校は女子校を維持します。
共学化のテーマは「ダイバーシティと研究力で旋風を起こす大学」。会見で、共学化の決定について大河原量理事長・学院長は「今回の決断は激変する社会、多様化する世界で学生が自分らしく一生を描ききる力を得るために、必ずや寄与するものと信じています。本学の強みを生かしながら社会の要請に答え、大学を未来化させ、学生の成長を促すことが共学化の趣旨であることを理解いただきたい」と話しました。
共学化の方針については6月17日に公表済みですが、公表後、オンライン署名サイトで共学化の中止や延期を求めて5万件を超える署名が寄せられるなど、学内外に波紋が広がりました。こうした不安を払拭するため、武庫川女子大学では学部別など学生対象の説明会を重ねてきました。最も多く寄せられた意見が「なぜ2年後なのか、在学生が卒業するまで待ってほしい」というもの。29日の記者発表でもこの点が問われ、共学化の方針前に学生への意見聴取をしなかったことについて見解を問われた大河原理事長は「加速する少子化と女性の共学志向により女子大の未来は厳しい。本学は中高大10年の一貫教育を行っており、共学化するならどこかで区切りをつける必要があった。決断を遅らせると命取りになると考えた末の経営判断です」と、背景に大学存続に対する強い危機感があったことをにじませました。
ただし、現在の大学1、2年生および本学に進学を決めている附属高校3年生が大学を卒業するまでは実質的に女子大学としての環境を維持できるよう最大限配慮します。
このほか、記者からは決断に至る経緯や根拠となったデータ、女子大のあり方などについて多くの質問が出ました。
学校法人武庫川学院は教育者・公江喜市郎によって1939年(昭和14年)に創設。その10年後、1949年(昭和24年)に開学した大学は時代のニーズに応じて学びのフィールドを広げ、13学部21学科、大学院8研究科14専攻を有する日本最大の女子大学に発展しました。附属保育園、附属幼稚園、附属中学校・高等学校を擁する女子総合学園の中心を担っています。
開学76年にして迎えた大きな転機。武庫川女子大学では共学化はポジティブチェンジであることから、「共学」を超えた「皆学」という言葉でこの変革を再定義しています。
皆学化(共学化)の趣旨は下記の通り。
1、 開学した1949年(昭和24年)当時、2%程度だった女性の大学進学率はいまや50%を超えました。「女性に高等教育の機会を提供する」という本学としての所期の目的は達成されたと受け止めています。
2、 本学はジェンダーや多様性への理解促進、キャリア形成について特色ある教育を推進してきました。しかし、日本はいまだジェンダーギャップ指数で世界118位(148か国中)※に低迷し、男女格差は解消していません。本学の教育をすべての人に広げ、ジェンダーバイアスに縛られない価値意識を醸成することが、真の男女共同参画社会につながると考えます。すなわち女子大学の進化です。
※2025年世界経済フォーラム調べ
3、 日本の少子化は国の想定より15年早いペースで進んでおり、大学間競争は激化の一途をたどっています。とりわけ多様化社会の進行に伴い、女子高校生の女子大離れは顕著で、女子大学はいっそう厳しい未来が予想されます。
4、 総合大学としての多彩な学問分野を持つ本学には、様々な人からの「学びたい」ニーズがあります。こうした声に応え、性別、国籍、年齢の枠を超えて学びを開くことは総合大学としての責務であり、分断や対立を遠ざけて、平和を希求する立学の精神にも合致します。
5、 日本の国際競争力を再浮上させるには、研究力を高め、イノベーションを起こすことが必須です。多様な価値観が融合し、多様な人が協働するダイバーシティは新たな価値を創出し、大学の高度化、ひいては日本社会の活性化につながると期待されます。
武庫川女子大学では共学化で生かせる強みとして「女子大学として培ったきめ細かな教育」「社会とつながる実践的学び」「科研費※の採択金額、件数ともに全国私立大学の上位10数%に位置する研究力(※学術研究の発展を目的とする競争的研究費である科学研究費助成事業)」、「神戸にも大阪にも近く、利便性の高い駅近キャンパス」「アメリカに分校を持つ希少性」「人材育成方針『MUKOGAWA COMPASS』が表す教育力」などを挙げ、これらの強みを共学化でさらに活性化し、選ばれる大学をめざします。
▼本件に関する問い合わせ先
武庫川女子大学広報室
広報室
住所:西宮市池開町6-46
TEL:0798453533
メール:kohos@mukogawa-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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