新たに''デルタプラス株''にも対応~HRM法による新型コロナウイルス変異株スクリーニングがいよいよ社会実装へ~



名城大学(名古屋市天白区)薬学部衛生化学研究室の神野透人教授らが新型コロナウイルス、デルタ株のスクリーニングを愛知県と共同で実施することが決まりました。
神野教授らが新型コロナウイルス変異株の簡単で迅速な識別法を確立したことについては5月12日の記者会見で発表されています。この度、開発された高分解能融解曲線分析(HRM分析法)がいよいよ社会実装に踏み出します。




 薬学部衛生化学研究室の神野透人教授らが、新型コロナウイルス デルタ株のスクリーニングを愛知県と共同で実施することが決まりました。
 最近、WHO*1によって3種類のインド株(旧称)の分類が見直され、L452Rの他にT478Kの変異をもつ変異株(B.1.617.2株)のみが「懸念される変異株(VOC)」に分類され、デルタ株と呼ばれるようになりました。
 一方、L452RとW484Qの変異をもつ別の旧インド株(B.1.617.1株、カッパー株)は「注目される変異株(VOI)」とされ、監視の重要度が引き下げられることとなりました。
 L452Rのみのスクリーニングでは、デルタ株の他にカッパ株やカリフォルニア株も混ざって検出されてしまうため、「デルタ株等」として標記されています。そこで、神野教授らは、デルタ株に特徴的なT478Kの変異をHRM(高分解能融解曲線)分析法*2で検出することにより、N501Y変異株よりも感染力が1.6倍強いとされるデルタ株(B.1.617.2株)のみを選択的に検出することに成功しました。
 さらに、最近、デルタ株にK417N(ベータ株(旧称 南アフリカ株)に存在するものと同じ変異)が加わった新たなデルタプラス株(B.1.617.2.1株)も検出されつつあります。神野教授らの研究グループは、ベータ株のK417Nとガンマ株(旧称 ブラジル株)のK417Tの両変異を同時に識別する方法を既に開発していますので、新たなデルタプラス株もHRM分析法で識別可能です。
 スクリーニングの共同実施は6月30日から。神野教授は「デルタ株(等)の感染拡大が世界的に懸念される中で、愛知県においてVOC変異株の感染動向を詳細、かつ迅速に調査できることの意義は大きい。県民の安心、安全の確保に多少なりとも貢献できるのではないか」と話しています。

*1 World Health Organization, Weekly epidemiological update on COVID-19 - 1 June 2021. (https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---1-june-2021)
*2 Aoki A, Mori Y, Okamoto Y, Jinno H (2021) Development of a genotyping platform for SARS-CoV-2 variants using high-resolution melting analysis. Journal of Infection and Chemotherapy, in press (https://doi.org/10.1016/j.jiac.2021.06.007)




●HRM分析法の確立に関する本学サイトの記事はこちら
https://www.meijo-u.ac.jp/sp/meijoresearch/feature/covid19.html(特集「変異種検出の新技術」)
https://www.meijo-u.ac.jp/news/detail_24843.html(ニュース記事「薬学部衛生化学研究室が新型コロナウイルス変異株の簡単、迅速な識別法を確立」)



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【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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