日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)の意匠チタンTranTixxiiⓇ(トランティクシー)が広島県広島市安佐南区の光明寺の境内に新築される納骨堂の露盤宝珠、露盤側面の飾り金物、鬼板及び屋根に採用され、特に頑強な溶接構造が必要な宝珠を支える露盤内部の構造部には当社独自チタン合金の Super-TIX51AFⓇ(スーパータイエックス51エーエフ)が採用されました。
光明寺は700年以上の歴史を持つお寺です。住職である遠藤岳宣氏の「納骨堂は永く使用できる建物に」とのご要望を、康和建工株式会社(広島県安芸郡熊野町)代表取締役であり、宮大工棟梁の三村康久氏が請け、屋根をチタン葺きとすることに加えて、頂部に据える露盤宝珠についてもスケルトン型の露盤宝珠のデザインを発案し、設計・加工を担当した株式会社東京チタニウム(埼玉県さいたま市)の協力をもとに耐久性の高いオールチタン製とすることを提案し、今回の採用に至りました。
露盤宝珠をオールチタン製で製作するにあたり、恒久的な使用に耐えうるよう、宝珠芯棒と露盤内部構造には、純チタンの約2倍の強度を持つ当社独自合金の Super-TIX51AF を採用し、頑強な溶接構造としました。また、意匠面では、宝珠を照らす太陽光の角度を考慮し、朝、夕の日の光が宝珠を透かして見えるように縦型のスケルトンデザインを用いることとし覆鉢は横型としました。これは、光の当たり方による陰陽に加えて、眺める角度によっても、光の干渉のため見え方が変わる、株式会社ホリエ(新潟県燕市)によるチタン発色技術とのコラボレーションにより、独特の美しさを表現、特に後光に照らされた宝珠は荘厳な出来上がりです。更に露盤側面を飾る金物としては、チタン結晶模様の HYPERBETAⓇ(ハイパーベータ)を黒色化した装飾板をバックグランドとし、金色発色したチタン製龍金物がいっそう引き立つよう、工夫しました。
全国に社寺は約16 万軒あり、建物のメンテナンス費用や職人の人手不足など維持管理に関する課題が多く聞かれます。日本製鉄は、耐食性・耐久性に優れたチタンによる長期的なメンテナンス負荷低減と、加工性にも優れた意匠性チタンTranTixxii による容易な施工などのソリューション提供を通じ、素材の面から伝統建築の継承に貢献します。
意匠性チタンTranTixxii は、独自の技術によって様々な色彩・色調を表現する、時を超えて “伝統” と “美しさ” を次世代に伝える世界初のチタンブランドです。日本の伝統的な神社仏閣をはじめとして、日本国内及び海外の著名な劇場やホテル、美術館、教会等、約700 件以上の建造物に採用されてきた実績があります。
日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を結集し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動(「11.住み続けられるまちづくりを」のターゲットである「世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する」)を通じて、これからも社会の発展に貢献していきます。
【物件概要】
① 物件名 :浄土真宗本願寺派 光明寺 納骨堂新築工事
② 所在地 :広島県広島市安佐南区高取北1-3-9
③ 設計施工:康和建工株式会社(広島県安芸郡熊野町)、伝建工学研究所( 同 )
④ 素材 :(露盤宝珠)意匠チタンTranTixxii、高強度チタン合金Super-TIX51AF、HYPERBETA
(屋根一文字葺)意匠チタンTranTixxii緑青仕上げ
(鬼板)意匠チタンTranTixxii
⑤ 露盤宝珠:製作/株式会社東京チタニウム(埼玉県さいたま市)
発色/株式会社ホリエ(新潟県燕市)
⑥ 龍金物 :プレス加工/トヨタ自動車株式会社(愛知県豊田市)
発色/株式会社ホリエ
⑦ 板金施工:有限会社山本鈑金製作所(広島県広島市安佐南区)
⑧ 鬼板 :東洋ステンレス研磨工業株式会社(福岡県太宰府市)
⑨ 使用量 :約0.5トン(露盤宝珠50kg、屋根材0.4トン、鬼板2個 2kg/個)
⑩ 竣工予定:2024年3月
(納骨堂立面図)
(宝珠金色発色の仕上り) (龍金物)
(高強度チタン合金Super-TIX51AF溶接構造部) (鬼板)
日本製鉄のデザイニングチタン「TranTixxii(トランティクシー)」ホームページ
https://www.nipponsteel.com/product/trantixxii/
(お問い合わせ先)
日本製鉄株式会社 総務部広報センター TEL:03-6867-3419
チタン営業部自動車・建材室 TEL:03-6867-3948