2024年6月27日
独立行政法人情報処理推進機構
プレス発表 戦略・技術・人材の視点から日本企業のDXを調査した「DX動向2024」を公開
~進む取組、求められる成果と変革~
独立行政法人情報処理推進機構(IPA、理事長:齊藤裕)は、戦略・技術・人材の視点から日本企業におけるDXの取組とその成果、技術利活用、人材育成などについて調査した結果をまとめた「DX動向2024」を本日公開しました。
DX動向2024
URL:
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2024.html
IPAでは、日本企業のDXに関する状況や課題等について調査し、その結果を関連する技術解説などを加えて取りまとめた「DX白書」を2021年および2023年に公表してきました。日本企業のDXへの取組が進むなか、調査データにも鮮度やスピードが求められるため、IPAではDX白書から引き継いだ調査を本年2月から5月まで実施し、「DX動向2024」として速やかに公表しました。
本調査の結果、日本企業のDXの取組は順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方でDXの取組をデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取組項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られませんでした。特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は他の段階に比べて道半ばであることが分かりました。
1. DXの取組状況
DXの取組については2021年度から年々増加傾向であり、本調査時点の日本では7割強がDXに取組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあります。DXに取組んでいる企業(「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門でDXに取組んでいる」「部署ごとに個別でDXに取組んでいる」の合計)の割合は2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していることが分かります。
図1.DX の取組状況(経年変化および米国との比較)
2. DXの成果
DXの取組において、設定した目的に対する成果が出ているかを尋ねたところ、「成果が出ている」企業の割合は2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています(図2)。一方で、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答した2022年度の米国と比べると道半ばの状況です。DXの取組状況は米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられます。
図2. DX の成果状況(経年変化および米国との比較)
3. DXの取組項目別の成果の状況
DXの取組項目別の成果の状況について尋ねた結果を、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階の観点で見ると、2022年度調査の傾向から大きな変化は見られませんでした(図3)。「アナログ・物理データのデジタル化」や「業務の効率化による生産性の向上」のように比較的取組みやすく成果も出やすい取組項目がある一方で、「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」のようにデジタルトランスフォーメーションの取組は他の段階と比較して成果が出ていない傾向がみられます。
図3. DX の具体的な取組項目別の成果(経年変化および米国との比較)
このほか、本調査では、データ利活用やAI・生成AI、システムの内製化、レガシーシステムの刷新といった技術の利活用状況の面や、DXを推進する人材の過不足や育成といった人材に関する面についても、過年度調査との経年比較を行い、全101ページのDX動向2024(データ集)をあわせて公開しています。IPAは本調査がDXに取組んでいる、あるいはこれから取組もうと考えている企業の方の参考となり、DX推進に資することを期待しています。
本調査はIPAのウェブサイトからダウンロードが可能です。
DX動向2024
URL:
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2024.html
調査概要
・調査対象:事業会社の人事部門、情報システム部門、DX推進部門 等
・回収数:事業会社1,013社
・調査実施期間:2024年2月9日~2024年5月2日